まだ見ぬ君に 61.12.08

気付きのカケラ、と健忘録

僕の知っていたサン=テグジュペリ 筆者レオン・ウェルト

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巻頭エッセイで池澤さんが城砦に触れている。
「人間はそのままでは人間ではない。生に意味を与え、方向を与え、それによって精神を吹き込まれてこそ人間となる」この後続く話が続くのだが、この精神は人間の大地でも強く感じていた。なお、引用した文にある”意味”と”方向”には同じサンスとルビが振られている。名詞sensの意味に触れると意味、感覚、方向。納得すると共にこの言葉の使い方がサン=テグジュペリが好きな理由の一つでもある。

 さて、本の作者はレオン・ウェルト。
サン=テグジュペリ星の王子さまを献呈した相手だ。少し引用すると「この本を一人の大人に捧げることを許してほしい、とぼくは子供たちにお願いする。」で始まり、「小さな男の子だった時のレオン・ウォルトに」と続いて、物語の本文が始まる。

 サン=テグジュペリが好きな人には特にお薦め。
強い絆、友情、かけがえの無い関係だったことが分かる話が手紙と日記を中心に綴られる。日記は1940年代に書かれたものが中心で、星の王子さまが書かれた時代だ。今から約80年前の手紙と日記はナチスドイツがフランスに侵攻した頃であり筆者はユダヤ人。明日は8/15。第二次世界大戦を思うと献呈の言葉が違って聞こえてくるかもしれない。