まだ見ぬ君に 61.12.08

気付きのカケラ、と健忘録

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ザ・ホワイトハウススタートレック以外で、全シーズンのDVDBOXを持っている作品。タイトル通りホワイトハウスを舞台にした大統領とその側近を中心に描いた政治ドラマで、エミー賞受賞多数作品としても知られている。気が付けばNHKで放送してからもう17年も経っている。

5話の軸の一つが、次席補佐官ジョシュを通じた仲間の絆だ。朝からイベントで騒がしい中、ジョシュは国家安全保障局から一枚のカードを手渡される。それは核戦争などの非常事態時に避難所に入るためのパス。バスは多くの仲間、広報官などには配られていないと知りショックを受ける。自分が助かり、親しい仲間と有無をいわせずに離別するバス。彼は10ヶ月ぶりのセラピーで、「なぜかアヴェ・マリアが頭から離れない」と落ち着けずに話し始める。 

彼は幼い日に姉を火事で亡くした。その時のことをうまく思い出せない。だけど一緒にいた姉がジョシュのお守りをしていた時、火事で死に自分だけが家から逃げて生き残った記憶がわずかにある。残る記憶は姉がシューベルトアヴェ・マリアが大好きでよく聞いていたこと。一枚のカードから繋がり始める感情。思い出したくない記憶と姉との大切な関係と別れの記憶。
ジョシュを作った信条も、生き方も、女性との関わり方も、軽口を叩く癖も、どこかで何かが関わって今のジョシュがいる。姉の存在も間違いなくその一つ。
一枚のカードが、自分の思いも、意思も、気持ちも、絆も無視して生死を分ける。それを受け入れたジョシュは今までのジョシュとは何かが違ってしまうのかもしれないと想像させる。

夕刻、側近達を中心にしたパーティーが始まる中、彼は一人でアヴェ・マリアの流れる部屋から出られずにいる。報道官のCJが彼を迎えに来たとき、ジョシュはカードの話を切り出す。「君とは友達でいたいから、黙っているのが苦しくって」、「あなたって、優しいところがあるのね」まだ話し続けるジョシュに、もう一度、「あなた、優しいところがあるのね」と言って部屋を出る。 

パーティでは主席補佐官に大統領が「なぜだか分からないがスタップ同士が寛いていると、とても気持ちがいい」と話している。そこにジョシュが現れ、首席補佐官に、
「僕は、悲劇が起きたら友達を励ましたいし、勝利の時は一緒に喜びたい。これを持っていたら、みんなの目を見ることができないんです、だからこれは要りません」
「僕は、友達といたいし、家族といたい。それに、彼女たちと」
そう話し、カードを渡す。

ザ・ホワイトハウス シーズン1 第5話「奇妙な陳情」